吉良ヒロトに引き取られた。〈２〉 (ページ39)

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87話ページ39

潤花はカナデがフワフワ飛んでいゆ様子を見て、ふとある事が思い浮かんだ。

潤花「そういえば、カナデって他に仲間はいるの？」
カナデ「仲間？んー………」

潤花の問にカナデは少し頭を悩ませたあと、曖昧な言葉を返した。

カナデ「今は僕だけ。多分僕が消えたら、また新しい精霊が現れると思う」
潤花「じゃあカナデは、前にいた精霊が消えたからカナデはできたの？」
カナデ「できたって言い方はなんか癪だけど………うん、まぁそんなところかな」
潤花「そうなんだ………」

潤花はまだカナデに疑問は抱くものの、早く良くなるように目を瞑った。

＊＊＊

翌朝。

潤花「んー！熱が下がってよかったぁ」
怜奈「はい。これならば安心してお出かけなさって大丈夫ですよ」
潤花「あ、はい………………」

潤花は少し照れた表情で、ベッドから起きた後
あらかじめ決めていた服に着替え朝食を済ませると、出かけていった。

リュウジ「えらくご機嫌だね、潤花」
ヒロト「そうだね、今日が待ちどうしかったのかな」
美月「男の子と会うのかしら………」

３人は微笑ましそうな表情で、潤花を見送るのだった。

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集合場所に着くと、既に南沢の姿が。

潤花「待たせてごめんね」
南沢「そうだな、3分は待った」
潤花「……………ここは普通『今来たところ』って言うのが礼儀なんじゃない？それにまだ集合時間
までに5分あるわ」
南沢「細かい事なんか、気にするなよ。ほら、行くぞ」
潤花「あ＿＿＿」

南沢が潤花の手を引いて、連れていった。

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潤花「ねぇ、どこ行くの？」
南沢「言っただろ？行ったら分かるよ」

潤花は不思議そうに首をかしげた後、少し考えてふと、潤花は手を握られている事に気がついた。

潤花「きゃあ！？」
南沢「うわっ！………なんだよ。いきなりでけぇ声出して」
潤花「だ、だって……手………」
南沢「手？なんだよ今更。ちいせぇ時から２人で歩く時はいつもこうして繋いでたじゃねぇか」
潤花「＿＿＿けれど私はその手をほどいたわ」

潤花は少々暗い表情でそう呟くように言った。

南沢「なら、また結べばいいだろ」
潤花「南沢君…………」

南沢は潤花の顔を見やずにそう、告げた。
その横顔は太陽に照らされていて………

潤花(いつも、篤は私が言ってほしい事を言ってくれる………だから私＿＿＿)

そこで潤花はハッとして、言葉の続きを止めた。

潤花(私今、なに言おうとしたんだろ！？
恥ずかしいっっ)