吉良ヒロトに引き取られた。〈２〉 (ページ34)

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82話ページ34

帰宅

潤花「……………………」

潤花はベッドに横たわって、明日の事を考えていた。

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昨日の夜
電話で。

南沢《プールに行けねぇ？》
潤花《うん、プール以外がいいなぁー……》
南沢《他ってなにがあんだ？遊園地とかチケットねぇから、たっけぇし……あ、あそこはどうだ？》
潤花《あそこって？》
南沢《覚えてねぇのか？》
潤花《あそこって言われるだけで、分かるわけないじゃん》
南沢《じゃあ、俺が連れてってやるよ》
潤花《………そう。あ、そうだ！》
南沢《あぁ？》
潤花《ピアノのコンクール来てよ！今度あるんの》
南沢《気が向いたらな》
潤花《ありがとう！それじゃあ、また今度ね》

潤花は強引に電話を切って、そこで2人の会話は
終了した。

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潤花「あそこってどこなんだろ……」

そんな事を考えながら潤花は風呂に入る為、部屋着と下着を手に持って下へと降りていった。

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潤花は鏡に映る自分の背中を見て、ため息をついた。

潤花(………………一生、消えることなんてないんだろうな)

鏡に映っていた潤花の背中は、
右肩から左斜め下に、スパッと斬られてた少し小さめの痛々しい傷。

潤花(この傷は誰にも見られたくない。親から受けたから尚更…………今、お母さんとお父さんは何してるんだろ…この傷を覚えいるのかな……？)

潤花は今にも涙が目から流れそうなのを、堪えながらそう、心の中で思うのだった。

＊＊＊

ピアノコンクール当日。

潤花「こ、こんなの恥ずかしくて着れません！派手過ぎます！」

潤花はコンクールに着るドレスを怜奈に着せられそうになっていた。

怜奈「なぜです！とても綺麗じゃありませんか！」
潤花「無理！絶対無理です！」

潤花は元々持っていた紺色の膝が隠れるくらいのシンプルなドレスを着るつもりだったのだが、怜奈の用意したドレスは、色は紺色だが、そのドレスについてたフリルや露出がやや高いので、着るのを拒んでいた。

怜奈「いけません！さ！これを！」
潤花「いいい、嫌ですぅー！」

＊＊＊

神童「潤花！＿＿っ！」
潤花「今日は頑張ろうね……」

潤花は少しやつれた表情で、神童に挨拶をした。

神童「す、凄く……綺麗」
潤花「や、やめてよ……恥ずかしい」

潤花は少し頬を赤くして、身を縮ませた。
そして少しステージを覗き込んだ。

潤花(この緊張感……凄く久しぶり)

客席を覗いてみると、深めの帽子をかぶったヒロトとリュウジ。それから南沢の姿も。