吉良ヒロトに引き取られた。〈２〉 (ページ32)

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80話ページ32

ヒロト「じゃあ、俺が聞くよ」
潤花「………え？」
ヒロト「俺が聞く…………聞きたいな、君のピアノ」

ヒロトは特に深い意味はなかったが、潤花に
とって、とても嬉しい言葉だった。

潤花「なら………ヒロトさんが聞いてくれるなら、出ます。このコンクールに」

潤花は嬉しそうにヒロトに笑った。

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潤花「ふふっ」
カナデ「嬉しそうだね！潤花」
潤花「そうね、うん………とても嬉しい」

潤花はまたピアノに向き直り、練習に熱を入れた。

＊＊＊

終業式当日。

先生の長い話も終わり、一学期を終えた潤花は
家に帰っていた。

神童「じゃあ、また部活でな」
霧野「またな」
潤花「うん、じゃあね」

潤花は軽く2人に手を振って別れたのだった。

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神童「なぁ、霧野。俺、今年の夏、潤花に言うことにしたんだ」
霧野「言う？もしかして、『好き』って？」
神童「あ、あぁ……」

神童は少しだ照れながら、きごちなく返事した。

霧野「ふぅーん、頑張れよ」
神童「頑張れって……霧野、お前も……」
霧野「俺はもう伝えた。潤花に」

その言葉を聞いて、神童は驚いた。

霧野「女の子を好きになったのは初めてだったから最初はこの気持ちに色々悩んだけど、俺、気づいたらあいつの事考えてた。それでやっと決心がついたんだ。『あいつの事好き』なんだって」
神童「そう……なのか」
霧野「あぁ、……振られたけどな」

霧野は悲しい気持ちを隠すように、笑って見せた。

霧野「頑張れよ、応援してる」
神童「あぁ、ありがとう」

＊＊＊

その頃潤花は

潤花(夏休みか………園にいた時はずっと外には出ずに中にいたな………)

そんな事を考えながら、歩いていると後ろから声をかけられた。

？？「よっ、そこの美人なお姉さん。俺と一緒に遊ばない？」

聞き覚えのある声に、潤花は驚くように後ろを振り向くと

潤花「南沢君……ナンパの練習でもしてたの？」
南沢「そーかもな」

南沢は軽く受け流したあと、潤花の近くに寄った。

南沢「今日は終業式か？」
潤花「うん」
南沢「なら、夏休み……か」
潤花「そうだけど……それが、どうかしたの？」
南沢「……お前って本当、鈍いな」
潤花「え？」

南沢はそう言って、潤花に1枚の券を潤花に手渡した。

潤花「プール割引券？」
南沢「行かね？市民プールだけどな」

潤花はその券を見て、少し目を輝かせた。

潤花「行くっ」
南沢「決まりだな、詳しい事はまた後で、な」
潤花「何か用事？」
南沢「あぁ」