吉良ヒロトに引き取られた。〈２〉 (ページ28)

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76話ページ28

そして、花火大会の始まる時間が来た。

怜奈に浴衣を強く勧められたが潤花は『恥ずかしい』と言って、断った、

潤花(浴衣なんか着ていったら、気合入ってるって思われそうだし……それに、浴衣姿を一番最初に見てほしいのは……)

潤花はふと、1人の男性を頭に浮かべた。その途端潤花はポッと頬を赤く染めた。

霧野「君島！！」

こちらに手を振る霧野の姿が。
潤花は霧野の傍まで駆け寄った。

霧野「あと、５分だな。少し走るか」
潤花「そうだね」

2人が集合した場所からは、花火を見るには少し遠い。もう少し近くに行こうという事で走ることにした。

霧野「行くぞ！」
潤花「あ＿＿＿＿」

霧野は無意識なのか＿＿＿
潤花の左手を握り、引っ張る形で走り始めた。

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ドカーンと夜空に打ち上がる色とりどりの花火。
それを２人は、お互い喋ることなく見ていた。
他にも花火を見に来ている人はたくさんいた。
だが、２人が見ていた場所には2人以外いなかった

そして、潤花はある事を思い出していた。
"小さい頃、町内の花火大会に親と毎年行っていた事"を。

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「お母さん！綺麗だね」
母「そうね。とても綺麗ね」
「お母さん！華恋と花火、どっちが綺麗？」
母「もちろん、華恋に決まってるじゃない。ねぇお父さん？」
父「あぁ。華恋はとても綺麗だよ」
「えへへ」

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わざと、いたずらっぽく聞いたあの質問。

潤花「綺麗………」
霧野「そうだな」

霧野はこの花火の事を言っと思い、そう答えた。

潤花「………………………」
霧野「けど………君島の方が………」
潤花「…………？」

霧野はそう言いかけたが、すぐに口を閉じた。

霧野「なぁ、君島」
潤花「なに？」

霧野は３秒ほど置いて、唐突な質問を潤花にした

霧野「その…君島は、心に想う異性っているか？」

それは多分、潤花にとって『好きな人はいるか』
と聞いているのだと思う。
その時潤花の脳裏に浮かんだのは、先ほどと同じ男性の顔。だが………

潤花「どうして？」
霧野「俺、ずっと君島に伝えたかった言葉があったんだ」
潤花「…………………………」

霧野はまた３秒…いや、５秒ほど置いてから、言葉を発した。

霧野「俺、君島の事が好きだ」

それは花火の音にかき消された。なんて、アニメや漫画でよくあるパターンではなく、潤花の耳にちゃんと聞こえた。

潤花「……………………」

"好き"

潤花は人生初めて、告白を受けたのだった。