笑顔の花【ワンピース】 (ページ44)

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第４３話『羨望』ページ44

詳しすぎるほど、その日記には様々なことが書かれていた。

知らない世界。
そこに行くまでに至った経緯。
そして……その世界で出会った大切な人達との記憶。

まるで小説のように淡々と語られた日記に、アイラは軽く目眩を覚えた。

「羨ましい」

意識せずとも、口から零れたのは羨望の声だった。
元の世界では手に入れることは叶わなかった全てが、この日記には綴られている。
記憶を失う前の自分は、こんなにも幸せだったのかと思うと、それだけで羨ましさが込み上げてきたのだった。

『挨拶回りを済ませてきた。
この後エースは海軍に捕まり処刑される。
私は今度こそ止めなきゃならない。
何を失ったとしても。』

「今度こそ……？」

アイラが気になったのは、幾度となく出てくる『今度こそ』という単語だった。
まるで、何度も経験しているような……。
そこまで考えて、アイラは日記を閉じた。
既に処理能力のキャパは超えていた。
一度眠りについてから考えをまとめよう、そう考えてもおかしくはなかった。

そして、アイラは眠りについた。