第３９話『指紋』 ページ40
目を覚ましたアイラに対する態度は一変した。
そもそも、アイラの名前は鈴宮 アイラというようで、ヤミズスという苗字には覚えがなかったらしい。
そして、自分は○○高校の２年だと言った。
海賊なんて物語にしか出ない。と。
そんなアイラに大して、船員は対応の仕方が分からなかったのだ。
故に……
「あの……なにかお手伝いすることありますか？」
「アイラさん！い、いえ、大丈夫です！」
「ですけど……」
「失礼します！」
こんな具合に、アイラは明らかに周りから避けられてしまった。
嫌われてるわけじゃない。
現に、マルコやエースは普通に声をかけてくるのだ。
「アイラか？どした」
「エースさん……」
「あ、また落ち込んでんのか？」
「……ま、まぁ……」
だが、彼らはことあるごとにアイラの記憶について話していた。
アイラは知らないが、隊長らは島につくたびに記憶喪失について調べていたが、結局成果はなかった。
マリンフォードの戦いから一ヶ月過ぎたあたり……白ひげ海賊団にとある来訪者が訪れた。
「少し前ぶりだねえぃ、死の外科医よぃ」
「……あぁ」
「何の用だよぃ、アイラは元気だよぃ」
「俺の用はアイラの体調じゃねぇ。ほらよ」
ローはそう言うとマルコに何かを投げて渡した。
それは、紙袋に入った日記帳だった。
「開かねぇよぃ」
「そいつはおもしれぇぜ。ご丁寧に本人の指紋認証でしか開かないシロモンだ」
「指紋ねぃ」
「アイラしか開けられないらしいぜ」
「わざわざ届けてくれたのかよぃ」
「死にかけのアイラが必死に抱きしめてたんだ、相当大切なんだろ」
ローはそこまで話すとじゃあなと言って消えた。
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作者名：仁奈 | 作者ホームページ：
作成日時：2017年10月17日 13時
