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光くんが椅子に座ったのを確認したと同時に話し出した大ちゃん。
「正直さ、俺もう限界なんだよ」
何が限界なのか。嫌でも分かってしまう。
「…で?」
向かいから聞こえた怪訝そうな知念の声。『何』が限界なのかを聞かないあたり、おそらくその『何か』に知念も気づいている。もちろん、光くんも。
「もうさ、4人で一緒に行動しない?……これ考えたときはまさか山田と知念が組むのやめてたなんて思ってなかったから、ちょっと申し訳ないとは思ってるけど」
「……僕は嫌だよ。1人の方が楽だし、複数だったら失敗した時が怖いから。
……あの時は、僕のせいで上手くいかなかったから、もうやめた方がいいと思った。涼介のことも悪く言ったけど、本当に思ってる訳じゃないから…ごめん」
俯いていた知念が俺の方を見て言った。
知らなかった。知念がそんなに重く受け止めていたなんて。
「……気にすんなって、もう過ぎた事だから。
俺も、自分の意見とか押し付けてたかもしれない。だから、俺にも問題があったんだよ。だから気にすんなっ」
微笑みながら言えば、少しだけ照れくさそうに目を逸らした知念。
「じゃあ、山田はどう?」
俺の方に向き直って大ちゃんはそう言った。
知念と行動しなくなってから、伊野尾ちゃんに話しかける事もまともにできていないこの状況。だったら、答えは1つじゃないか。
「俺はやりたい、かも。1人になってからは少し怖くて…不安でなにも出来なかった。知念と一緒だったから出来てたっていうか……。
正直、まだ大ちゃんを完全に信用することはできないけど、可能ならやりたいかな」
信用できないってひでぇな と肩を揺らして笑う大ちゃん。でも、表情は穏やかだった。
「……だったら、やっぱ僕も一緒にやろうかな」
そんなやりとりを見ていた知念も、控えめに呟いた。
「失敗したところで別に責めるわけじゃないし心配はしなくて大丈夫だよ」
「……ふふ、信じるよ。さっきは強がっちゃって言ったけど、本当は1人じゃあんまり行動できなかったんだよね…ありがと」
知念の顔にも、ようやく笑顔が戻ってきたが、俺の横にいた光くんは、表情が暗いままだった。
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なな - もう続きは書かれないのでしょうか?(泣)待ってます!!! (2021年9月15日 11時) (レス) id: 41fdc5cbed (このIDを非表示/違反報告)
み - 短編集含め、全てのお話拝見致しました!全部好きですが、ymin、arinのお話が特に好きです。これからも更新楽しみにしています! (2020年12月14日 23時) (レス) id: 5a02e817dd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:にゃこ | 作成日時:2019年11月18日 23時