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ふらふら歩く伊野ちゃんの手を取り、時間をかけて辿り着いた俺の部屋。
部屋に入れば、遠慮なしにぼすん、とソファに沈むきのこ。そんなきのこに、水の入ったコップを渡せば、両手でコップを持ってごくごくと飲み干した。
「どう?酔いは覚めましたか伊野尾さん」
「んー、……ん。……ねようよお、ひかるぅ、」
「うわっ、ちょ、!?」
寝ぼけた顔で、声で。俺を誘う伊野ちゃんは、ぱしっと俺の手を掴んで自分の方に引き寄せた。
簡単にソファに倒れこんだ俺の体。そんな俺を、伊野ちゃんはまるで抱き枕を抱くかのように、ぎゅっと抱きしめた。
「は、ちょ、おい…伊野ちゃん、?」
恐る恐る伊野ちゃんの顔を見ると、彼はもうすでに眠りについていた。
は、嘘だろ?もしかして俺、朝までこのままか?
いや、いやいやいや。さすがにそれは危険だ。こんな目の前に伊野ちゃんがいたら俺はきっと…。
嫌でも目がいく半開きの唇。
…あぁ、もっと触れたい……じゃなくて、!
伊野ちゃんの腕の中から抜け出そうとしても、彼は俺を抱き枕の代わりにしてるようなものだから、そこそこ抱きしめる力も強くて抜け出せない。
ソファもそこまで広いわけじゃないし、下手に動いたら硬い床に伊野ちゃんもろとも真っ逆さま。
…いや、嘘だろ?こんなに近距離で朝まで?
通常の俺を保っていられるのか?
現に今、体のほとんどが伊野ちゃんと触れ合っている。顔だって目の前にあって、もう俺がちょっと動けばキスしてしまうぐらいに。
…なんならいっそ、キスしてしまおうか?
本人は寝てるし、例え起きていたとしてもちょっと動いたら唇がぶつかってしまった、と説明すれば「あぁ、なんだそっかあ」ってにへらっ、と笑って終わるんじゃないか?
……ごくり。
静かなリビングに、俺の唾を飲む音が響いた。
「……いや、寝込みは…さすがにだめ、だろ……」
今の俺の瞳は何色?
理性はあとどれぐらい残っている?
そしてそれは…朝までもつ?
拝啓バカ薮
お前のせいで俺は大変です。
なんて事してくれるんだ。
助けてください。
現在深夜0時。
……朝はまだまだ遠い。
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なな - もう続きは書かれないのでしょうか?(泣)待ってます!!! (2021年9月15日 11時) (レス) id: 41fdc5cbed (このIDを非表示/違反報告)
み - 短編集含め、全てのお話拝見致しました!全部好きですが、ymin、arinのお話が特に好きです。これからも更新楽しみにしています! (2020年12月14日 23時) (レス) id: 5a02e817dd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:にゃこ | 作成日時:2019年11月18日 23時