愛をたったひとつだけ Ryosuke.y

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「今日は涼介Aの部屋で寝て頂戴。明日には和室片付けておくから。」







母さんは疲れたらしくそのまま風呂場へと歩いて行った。


その場に取り残される私と涼介。しばらく無言が続いた。



先に口を開いたのは涼介だった。




「荷物置きたいんだけど。部屋どこ」



仮にも双子だとしても12年もあっていないのだ。ほぼ他人の相手に向かって偉そうな態度に苛立ちを感じる。




「左に真っ直ぐ行って突き当りの部屋。」





少し無愛想に答えリビングに戻った。





しばらくすると母さんが風呂場から出てきた。




「私涼介のことを好きになれないの。あんたが色々教えてやって。」





実の息子を好きになれないというカミングアウト。





「どうして？」





聞くべきかどうか迷ったが、涼介に落ち度があるのならば私もそれを知っておきたいと思ったのだ。




「顔があんたの父親に似てるのよ。それだけ。」






冷たくそう言い放つと加えて、
あんたももう少し似てたら今まで一緒に暮らして面倒見てなかったわよ、と言われた。





顔が似てて嫌われるなんて身勝手な大人。




そう思ったが口に出すべきではないと思った。
今ここで突き放されては、悔しいが私は生きていけない。




一刻も早く家事を覚えなければと初めて本気で思った。

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