半径１ｍ【ワートリ】 (ページ7)

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２.市松クッキーページ7

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「あれ？確かここに置いといたんだけど......」

『ちょ、っ、きりえ...まって......』

「な、ない......？なんで！？」

『きりえぇ......』

どうしてこうなったのか。
そのきっかけは、おおよそ１０分前に遡る。

夜間任務の疲れを土曜日のうちに癒して、とても心地よい目覚めを迎えた日曜日。
あまりにも頭と視界がスッキリしていたので、少し冷たいけど新鮮な朝の空気を吸いに、外に出てちょっとした散歩しようとしていた。

その結果捕まった。桐絵に。

意味がわからない話だけれど、わたしも何が起きてるのか全然わかってないから仕方がない。
そして、桐絵に連れられて、たった今玉狛に着いた。

「ちょっとA！あたしのどら焼き知らない！？」

『知らない、けど...でも.......』

「でも？」

わたしが「どら焼きなら持ってきてる」って言おうとしたその時、桐絵がハッとしたような顔で声を上げた。

「あっ！！もしかしてまたアイツ！？」

『えっ、ちょっ、桐絵！？』

「ちょっと行ってくるわ！！」

『えぇ......』

何を思ったのか大急ぎで階段を降りて、支部のリビングへと桐絵は走って行った。
しばらく２階の廊下で立ち尽くしていたけれど、このままだとどうしようもないのでわたしも階段を降りる。
玄関に降りると、そこには今帰って来たであろう２人が居た。

「あ、紡莉先輩。来てたんすね」

「さっき、小南が走ってなかったか？」

『どうすればいいかな......レイジさん、とりまるくん』

「何がですか？」

『わたし、元々は遊びに来る予定だったから持ってきてるんだよね......どら焼き.........』

２人ともどういうことかわからない、って言うように疑問符を浮かべているけれど、わたしの中は桐絵に言い出すタイミングを失った気まずさでいっぱいだった。

「あたしのどら焼きが、ない！！」

ドア越しでも聴こえてくる桐絵の声。
あぁ、本格的に言い出しにくくなって来たなぁ......
そんなことを思いつつ、とりまるくんとレイジさんと一緒に、リビングへと向かった。

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