半径１ｍ【ワートリ】 (ページ6)

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深夜。子供が寝静まり、街の灯りが消える静かな時間。
その中でも、更に静かで暗く、人の気配がない区域。
それが「警戒区域」であり、ボーダー隊員の任務現場。

わたしはこの夜、混成部隊で組まれたメンバーと一緒に警戒区域を巡回していた。

「なんか今日は門(ゲート)の開閉少ないよな〜」

『つい最近イレギュラー門の一件があったからね。余計にそう感じるなぁ』

〈どっちにしろこのメンバーなら一瞬だろうねぇ〜〉

上から出水くん、わたし、柚宇さん。
会話に参加してくれてはいないけれど、近くの建物にユズルくんにも待機してもらっている。
Ａ級隊員が３人、元Ａ級のＢ級隊員が１人。混成部隊にしては結構な高カードだと思う。

『そういえば、こんな時期に任務参加して大丈夫？あと１週間もすれば期末で、柚宇さんは今年受験......』

「おれは別にいいんだよ。米屋とか太刀川さんじゃねーけど、勉強とかあんま興味ないし」

〈わたしもほぼ諦めてるかなぁ。ユズルくんは〜？〉

〈オレも特には。気にしてないから〉

......こんなノリの人が集まったんだ、今日は。
でも流石に３日切ったら気をつけた方がいいような。
前日までランク戦を続けた米屋くんの悲劇を、わたしは未だに覚えている。

太刀川さんのときの事件は思い出したくもない。
忍田さんにこっぴどく叱られていた構図が目に浮かぶ。
多分あの時、「あんな風になりたくない」って強く思ったんだろうなぁ。中１のわたしは。

〈......来た〉

〈南西と北北東に門発生。後者の方がユズルくんから遠いし、二手に分かれるなら北北東にAちゃんが向かうのが良さそうだね〜〉

「了解。そっちは頼んだぞ、紡莉」

『うん。２人も気をつけてね』

グラスホッパーを足下に仕掛けて、上空へと飛び上がる。
門に押し潰されたのか、元々かは分からないけれど、倒壊した建物ばかりで見通しが良く、トリオン兵は案外すぐに見つかった。
それと同時に後方からも爆発音が聴こえる。出水くんたちは既に戦闘を始めてるみたい。

視覚で確認出来るトリオン兵は４体。音の反応も同じ数だから間違いないと思う。
中型が３体、大型が１体。これより増えるってことは無さそうな感じ。
近い方から順に斬っていこう。中型、大型、中型、中型。

頭のイメージが完成する瞬間、わたしはまた飛び出し、トリオン兵の目をブレードで両断した。

〈お見事〜〉

『そんなことないですよ......』

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