半径１ｍ【ワートリ】 (ページ4)

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saidA

「......って言う話を小南先輩にされたんすけど」

『待ってとりまるくんそれホント？やめてよ桐絵......』

「他には宇佐美先輩とか、迅さんも聞いてました」

『うそっ、追い打ちかけないで！？』

嬉しいけど、けど嬉しくないな。
とりまるくんが「そういえば」って言い出した時点である程度のイヤな予感はあった。
悪い話ではないんだけど、純粋に恥ずかしいからやめてほしかった。ありがたいとは思ってるんだけどね。

『というか、よくそんな長い話覚えられたね。すごい』

「あれでも抜粋してる方なんすよ。俺が覚えてないだけで、もっと修飾されてる部分もあったと思います」

『聞かない方が良かった......』

「紡莉先輩しょっちゅう自滅してますよね」

『返す言葉がないなぁ』

とりまるくんの言葉に、思わず苦笑いが溢れる。
だってわたしは人付き合いが得意じゃないから、と心の中で言い訳をした。
普通、というか自然体で会話ができる人なんて少ない方だと思うし、しかもそれがみんなボーダー所属。
学校でだけの友達なんて、１人も居ないような気がする。

「それじゃあ俺、時間なんで帰りますね」

『うん、ありがとう。桐絵によろしく』

「紡莉先輩もまた、玉狛に遊びに来て下さい」

『えっ？あ、うん！そうさせてもらうね』

あぁ、そろそろ前に行ってから１週間経つんだ。
今度はいつお邪魔しようか。後でシフト確認しとこう。
こないだは大福を持って行ったから、今度は鹿のやのどら焼きにしようかな。

そんな事を考えながら、広い廊下を歩いていくとりまるくんに手を振った。

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