思い出に、なんて ページ8
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前の会社でも事務職をしていたとはいえ、内容はやっぱりこちらの方が何倍、何十倍も大変であった。
ここで働き初めて早数週間。
初めは不慣れなことも多くて、周りのサイドキックさんたちに助けてもらいながらだった仕事も、今となっては慣れてきて効率の事を考えながら仕事するようになっていた。
「ウイﾞ〜〜ス…」
『お疲れ様です』
事務所に取り付けられてある大きな窓から帰ってきて早々、私のデスク近くにあるソファにぐだりと倒れ込むようにして寝転んだのは言わずもがなホークスさん。
今ではもう見慣れてしまったそれだけれど、ここに来て初めてその窓から人間が入り込んでくるのを見た時はそれはそれは驚いたものだ。
サイドキックさん曰く、確か昨日か一昨日に事務所を出てから帰っていないのだと言う。彼はこの通り、激務から事務所にいたり、いなかったりなのだ。
『コーヒーか何か飲みますか？』
「ンﾞ〜〜、お願いします」
返事を聞いて給湯室に向かい、コーヒーを自分用とホークスさん用の2ついれて、未だ寝そべる彼の元へ急ぐ。
置いておきますね、と一声掛けたところで、ありがとうございますと言いながらムクリと起き上がった。
『あち、』
「……仕事、どうです？量多くて大変ですよね、いつもありがとうございます」
『もうだいぶ慣れましたよ。それに、ホークスさんやサイドキックの皆さんと比べたらこんなの全然大変じゃないですよ』
「いやー、俺はどっちかと言うとデスクワークとかそういうのの方が苦手なんで、ほんと助かります」
『………こちらこそです。そう言って頂けてよかったです』
…………目の前の、プロヒーローである彼は忙しい。だから、事務所にいない日は勿論のこと顔を見ることも無いし、話すこともない。
けれど、有難いことに事務所にいるときはこうやって私のことを気にかけてくれている。
それに、私は手を止めて返答する時もあれば、忙しさから目の前の仕事から手を離さずに返答する時もあるけれど、それでもこの束の間のお喋りはとても気が楽で、…昔のことを、思い出してしまう。
私は今まで、何度も何度もこの気持ちを想い出にしようとして、必死になって蓋をしようとしてきた。けれどそんな私の努力も虚しく、ずっと捨てきることのできなかったこの感情が、あの頃と同じように熱を持ち始めるのにはそう時間はかからなかった。
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柴イヌ - めちゃ好きです。第三者から見たらクッキリしてるのに2人の中ではもやもやふわふわした関係性なのすきです。これからも、作者さんのペースで更新されていくのを応援してます！ (2022年10月17日 21時) (
レス) @page19 id: b7226dfc37 (このIDを非表示/違反報告)
まむ(プロフ) - 芝之さん» はじめまして！そう言っていただけて本当に嬉しいですありがとうございます〜〜(;_;)！文字に起こすのがすごい下手くそでこの2人の距離感が上手く伝わっているのか不安だったので本当に嬉しいです…！ (2020年9月5日 14時) (レス) id: 6068faa803 (このIDを非表示/違反報告)
芝之 - 夢主ちゃんとの、硬いようで脆い関係が大好きです…！更新楽しみに待ってます、頑張ってください！ (2020年9月5日 11時) (レス) id: b7a49d6e6e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まむ | 作成日時：2020年9月2日 22時
