話が見えない ページ5
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あの後考えておいてくださいと言った内容のことを告げ帰っていった男性を見送り、デスクに戻って仕事に手をつけはじめたのだが、私は完全に上の空でミスの連発であった。
はあ、と今日何度目かも分からないため息を吐き出していつもより少し遅い時間に会社を出た。……ところで、何者かによって私は腕を掴まれた。
誰だよ、もう。疲れてんのに。もう。なんて思いながら後ろを振り向くと、今日1日それどころではなかった男が立っていた。
『…』
「俺と別れて早々別の男ってか。つーか、もしかして俺と付き合ってる頃からデキてた？マジかよ」
『ちが、離してっ』
「どうせお前は、俺のこと好きじゃなかったんだろ！？じゃあ昨日の男は何だ？あいつも俺と同じように扱われて捨てられんのか？可哀想にな」
『っ……ごめんな、さい』
「ッ！このッ……」
私が謝ったことに腹が立ったのか、掴んでない方の手を高く振り上げる目の前の男。殴られる、そう思って目をかたく瞑って来るであろう衝撃に備える。も、なかなかその手は振り下ろされることなく、恐る恐る目を開くと男は私ではなく、私の後ろに目をやって驚いていた。
「女に暴力ですか。感心しませんね」
「お前っ……」
「どうも、昨日ぶりです」
軽快な喋り方のようだけれど、声はとても冷たくて私もすこしビクリと肩がはねてしまった。どうしてここに？と思う反面、ここで彼に助けられなかったら私はこいつに殴られてたのだろうという事実を今改めて理解し、心臓がバクバクと大きな音をたてた。
チッ、と舌打ちをひとつして、私の手を乱暴に払い去っていく男を見て、安堵した。
『あの、ありがとうございます……』
「ん、怪我はない？」
『はい、啓悟さんが助けてくれたので』
よかったと言って、当たり前かのように帰ろうか、と声をかけてくる目の前の人。
さりげなく車道側を、私の歩幅と合わせて歩く彼に質問をなげかけたのは、歩き出して数分たったころ。
『……どうしてここに？』
「今日ほんとは俺が行こうと思ってたんだけどね。緊急要請入っちゃって行けんくなっちゃったから」
『あ、あぁ……あれか…』
「そ。改めて浅香Aさん、うちの事務所で働いてくれませんか？」
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柴イヌ - めちゃ好きです。第三者から見たらクッキリしてるのに2人の中ではもやもやふわふわした関係性なのすきです。これからも、作者さんのペースで更新されていくのを応援してます！ (2022年10月17日 21時) (
レス) @page19 id: b7226dfc37 (このIDを非表示/違反報告)
まむ(プロフ) - 芝之さん» はじめまして！そう言っていただけて本当に嬉しいですありがとうございます〜〜(;_;)！文字に起こすのがすごい下手くそでこの2人の距離感が上手く伝わっているのか不安だったので本当に嬉しいです…！ (2020年9月5日 14時) (レス) id: 6068faa803 (このIDを非表示/違反報告)
芝之 - 夢主ちゃんとの、硬いようで脆い関係が大好きです…！更新楽しみに待ってます、頑張ってください！ (2020年9月5日 11時) (レス) id: b7a49d6e6e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まむ | 作成日時：2020年9月2日 22時
