懐かしい、それでいて鮮明な ページ3
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「いやー、元気だった？」
『えっ、あっ、はい』
それは良かった！とこちらに笑いかけるのは、間違いなく鷹見啓悟本人であった。
うそでしょ、なんで？なんでこんなところで？
私の頭は思っている以上に混乱していて、口をパクパクさせるも言葉を発することが出来ない。
高校時代の先輩に再会しただけ。たったそれだけの事であったが、それだけのことではないのだ。
『……羽根、は』
やっとの思いで絞り出したのは、それだった。挨拶でもなんでもなく、それ。
変わらず私の手を握り続けている啓悟さんの背中には、あの頃見慣れたそれがなくて、深く帽子を被って軽い変装をしていることから正体がバレずに撒けたのだけれど。
「バレちゃうからね。ところであの人、元彼？」
『……あ、はい。て言っても今回も3ヶ月程しか続かなかったんですけど』
「今回も？」
『あー……はい。…何はともあれ、助かりました。ありがとうございま……あ』
「？」
『……職場、一緒なんだった……めっちゃ気まずいんですけど。仕事、行きたくない』
「ははッ！それは大変だ」
『もう、笑い事じゃないです！』
ぷんすか怒ってみせると、すこし考えた素振りを見せたあと、まぁなんとかなるって！と他人事のようにまた笑って見せた。
いやまぁ、実際他人事なんだけれど。
そのまま流れで一緒に着いてきた啓悟さん。結局家まで送って貰ってしまった。
『色々と、ありがとうございました』
「いやいや。久しぶりにAちゃんに会えて良かったよ」
『私もです。……それじゃ、』
私に小さく手を振り返したのを見て、アパートの階段を登る。まだそこにいる啓悟さんはどうやら私が中に入るまで見送るようだった。
今日はたまたま会ったけれど、きっともう会うことはないだろう。
その日は、ご飯を食べててもお風呂に入ってても、ベッドに入って眠りにつくときも、あの人の顔が頭から離れなかった。
少しの時間でも、あの頃のように他愛もない話をできたことが嬉しい半面、もう会えない相手だと分かっているからこそ、虚しい気持ちでいっぱいになった。
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柴イヌ - めちゃ好きです。第三者から見たらクッキリしてるのに2人の中ではもやもやふわふわした関係性なのすきです。これからも、作者さんのペースで更新されていくのを応援してます！ (2022年10月17日 21時) (
レス) @page19 id: b7226dfc37 (このIDを非表示/違反報告)
まむ(プロフ) - 芝之さん» はじめまして！そう言っていただけて本当に嬉しいですありがとうございます〜〜(;_;)！文字に起こすのがすごい下手くそでこの2人の距離感が上手く伝わっているのか不安だったので本当に嬉しいです…！ (2020年9月5日 14時) (レス) id: 6068faa803 (このIDを非表示/違反報告)
芝之 - 夢主ちゃんとの、硬いようで脆い関係が大好きです…！更新楽しみに待ってます、頑張ってください！ (2020年9月5日 11時) (レス) id: b7a49d6e6e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まむ | 作成日時：2020年9月2日 22時
