きみのすきなひと【宮侑】 (ページ6)

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『、侑？』

「俺、もう1年ぐらい前やったかな、お前のこと諦めへんとか言うて落とす気満々やったけどな、ぶっちゃけ今お前を落とせる自信なんかいっこもあらへん」

『…』

「でもな、それでもお前のこと諦められへんちゅーのも事実や。
なぁ、どうしたらええ？どうしたら、」

______お前は、振り向いてくれる？

その問いかけは音になることはなかった。

「……ごめん、帰ろか」

『………ん』

俺はそっと三森を離し、また1歩を踏み出した。

______

『侑、傘ありがとう』

「おん。ええよ」

彼女を家まで送り届けて、向き合う。
あのあと俺と三森の間で会話はなかった。

『ほんなら、また明日』

「…おう」

無理に口角をあげてみせた。けれど、彼女は俺の目を見ることなく家に入ってしまった。

いきなり抱きしめたことがいけなかったのか。
それとも、あの言葉が重すぎた？
どちらにせよ、自分がフッた女にされたと考えれば嫌がるようなことをどちらもしてしまったのだ。

今回ばかりは、嫌われても仕方ないかもしれない。

なんて考えて項垂れながら、俺は来た道を引き戻した。

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