戦え三十路！【鯰尾藤四郎】 (ページ2)

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そりゃ、距離感近いし、気配もないわけだよねー・・・って納得してる場合じゃないし！

痴漢とまで疑った不気味なオジサンの正体が自分ってどーゆーこと？

三十路を窓にオバサンどころかオジサン化だなんて、悲惨過ぎて笑い話にもならない。

「おっ、恐ろしすぎる・・・！」

あまりのことに狼狽した真衣はヨロヨロと後退、恐怖を映し出す呪いの車窓から距離を取る。

ヤバいヤバいヤバい、私の女子力まじでヤバい・・・！

『そうか、真衣もついに三十。
本格的に始まっちゃったねぇ、恐怖のアラサー恐慌が』

焦る真衣の脳裏に、今日会社で宮丸主任から宣告されたショッキングな言葉がよぎる。

わわわわどうしよう・・・！

このままの状態で誕生日を迎えちゃったら私、女子どころかレディですらいられなくなっちゃう！

え、なに私、来週からOLじゃなくてOO・・・オフィス・オジサンとして生きていくの・・・？

迫りくる三十路ロードを前に愕然としてしまう真衣。

その脳内で、ふっと懐かしい声がした。

【諦めるな真衣、戦うのだ。
オフィス・オジサン化を回避し、幸せを掴み取るべく奮い立つのだ真衣よ・・・！】

夢湖真衣、三十回目の誕生日を目前にして、頭の中の軍曹が数年ぶりに唸りを上げた。