幼馴染以上恋愛未満 (ページ43)

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7人の始まり(Ryohei.A) ページ43

阿部くんは第一印象からずっと優しかった。
異例の存在である私にも普通に話しかけてくれたりして、特別距離を詰めたりするわけではなかったけど、でもその“普通”が私にはとてもありがたかった。

15歳の頃の、ダンスやアクロバットの練習がしたくてたまらなかった私がいつも居たのはほぼリハ室。
しかし、学生の本分は勉強というのも理解していたつもりだったので、やらなければならない学校の宿題なんかはリハ室の床の上でやっていた。
そんな中、どうしても自力では解けない問題も出てくる。
特に数学は苦手を極めていて、手が止まることもしばしば。
そんな時、頭上から優しい声が降ってきた。

「分かんないとこあるの？」

上智大学に現役合格し、ジャニーズJr.として活動しながらきちんと学業もこなしている阿部くん。
この人、色んな意味で本当に頭いいんだ。何となくそうは思っていて、そんな頭いい人とまともに会話できる気などしていなかった私は簡単な受け答えをするだけで、踏み込んで話をすることはなかった。
だから、数学の分からない問題の解き方なんて聞いていいのかな、と迷ったのだけど、せっかくの申し出に素直に質問することにした。
分からない問題を指すと、少し問題を眺めた後、阿部くんは丁寧に解き方を教えてくれた。
その説明はびっくりするほど分かりやすくて、学校の先生に聞くより阿部くんに聞いた方が理解は深まるな、と思ってしまうほど。

その日から、阿部くんは私の専属家庭教師になった。

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