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#50 ページ49
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「田中、ほんとにありがとう。」
「いいよ別に。」
「ううん、私は田中みたいな同期いて本当に良かった。」
そう言うと、田中は分かりやすく顔を歪めた。
気が付きたくなかった。
この違和感を、知らないふりをして終わらせたくて、言葉を続けた。
「私、怖がらずに頑張ってみる。」
「…ごめん、」
その言葉と共に、私の視界は真っ白になった。
それが田中のワイシャツだということ、そしていま抱きしめられていることに気づくのには、そう時間がかからなかった。
「…ねえ、」
「俺ほんとは、榎本に頑張って欲しくなんかない。」
「…」
苦しげな田中の言葉。
その意味に気づいてしまった、気づかないふりなんてできないことも分かってしまった。
ぎゅっと、私を抱きしめる力が強くなる。
「俺なら、榎本のこと泣かせたり、こんな思いさせたりしないのにって思う。」
「…」
「俺ずっとさ、榎本のこと好きだったんだよ。」
改めて言葉にされて、頭が真っ白になった。
更に抱きしめる力が強くなって、もっと何も考えられなくなった。
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作者名：飴宮
| 作成日時：2022年5月12日 18時
