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#47 ページ46

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何も考えられなくなって、私の手を引いてどんどん歩いていく田中に身を任せていた。


止まらない涙を拭う気力さえもなくて、ただ流れる涙がブラウスの襟を濡らしていくのを感じていた。




気がついたら、どこかの公園に着いてベンチに腰を掛けようとしていて、それからここが私の家の近くの公園だと気がつくのに、そう時間はかからなかった。




田中も、私が腰を掛けたベンチに座る。


そのまま私の方を向いて、ゴツゴツした細い指で私の濡れた頬を拭った。


そして、頭を優しく撫でながら、言う。









「大丈夫、俺がいるから。
 だから、もう前みたいに自分を追い詰めんなよ」


「…ほんとにごめん。」


「いーの、榎本は黙って甘えてなさい。」









二カッと得意の笑顔をみせて、「飲み物買ってくる」と立ち上がり自販機の方に歩いていった。




目があったとき、驚いていた優吾は何を思ったんだろう。焦り?めんどくさく思ったかな?…もう分からない。


けどそれよりも、間近で後輩のこといるところを見てしまったからか、想像以上のダメージをくらっていて。









「はい、暑いから炭酸。」


「わ、ありがとう。」









渡された、冷たい炭酸飲料。


その田中の優しさが、いつも以上に傷ついた自分に染みて、また泣きそうになった。




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作者名:飴宮 | 作成日時:2022年5月12日 18時

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