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「相変わらず辛気臭い顔。」
「うるさい」
同期の田中。
入社してからずっと私と同じ経理部。この部署には同期は私達二人だけで、入社して6年経った今も席は隣。
…うわ、
「もう入社して6年なの…?」
「そーよ、俺らも今年で28歳。」
「え、やだ、しっかりアラサーじゃん。」
「ね、俺もびっくり」
整った容姿、女の私でも憧れさえ抱く抜群のスタイル、そして女心をわかりきっている行動。
そんな田中がモテないわけもなく、入社して1.2年は遊びに遊びまくっていて、遊び人としてかなり有名だった。
それからは、何故か急にそういうのが落ち着いて、逆に心配してしまったっけ。そんな事もあったなあ、と一人思い返していると、田中のいらない一言。
「で、お前が元彼と別れてもうすぐ4年。」
「…う」
「いつまで引きずってんだか」
「忘れようと私なりに必死なの。」
「それでも?」
「これでも!はい、仕事しよー」
「…ったく」
じとっとした視線。
それやめてよね、こっちだって忘れたいんだから。
でもまあ、別れたときずっとやけ酒に付き合ってくれて慰めてくれたのは田中だから。だから文句は言えないんだけど。
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作者名:飴宮 | 作成日時:2022年5月12日 18時