#11 ページ11
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「なあ、榎本ー今日飲みにいかねえ？」
「んー、いいよ。」
適当に返事する。
女を誘うなんて慣れっこだろうに。それに私達は同期として何度も飲みに行っているというのに。
毎回律儀にお誘いの言葉をくれる田中は本当に面白いし、何より優しい。
「店探しとくわ。」
「いつもごめんね、ありがとー」
「いーえ。」
キーボードを打ち込みながら、し慣れた会話をする。
田中はほんとにセンス良いから、毎回連れていってもらうのが楽しみだ。
初めて2人だけの"同期会"なんてふざけたものをしたときは、おしゃれな居酒屋という言葉が似合う、不思議で居心地がよいお店に連れてってもらった。
それからは、またそのお店に行くこともあったし、にぎやかな焼き鳥屋さんや、反対に高級イタリアンにも連れてってもらったこともある。
たまにはいいでしょって、いい雰囲気のバーに連れてってもらったときは、本当にこいつは女心分かってるなって思った。
「田中さん！ちょっとここの確認してもらいたいんですけど…」
「あーいいよ、そこ置いといて。」
「は、はい…！」
あの子も田中狙いなのかな？
ショートカットでスカートなんか履かない私とは正反対に、可愛らしい格好をして髪もきちんと巻いて甘い香水をつけた後輩ちゃん。
ああいう子が田中を狙ってる場合が多い。
私なんかと飲みに行かないで、あの子達と行けば気分だって良いでしょうに。
でもまあ、私も田中と飲みに行くの楽しみだから余計なことは言わない笑
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作者名：飴宮
| 作成日時：2022年5月12日 18時
