一瞬を辿る (ページ10)

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言葉が出てこない。まさか、そんなことある？…過去に、戻ってきたってこと？

いや、これが夢かもしれない。そう思って、頬をつねったり手の甲を叩いてみたりするけど、ちゃんと痛くて肌に触れている感覚もする。

「ほんと今日なに？」

「…」

「おい、聞いてる？」

わけがわからなくて、こんな事実すぐに理解できるはずなくて。

でもこれが事実ならば、色んなものに納得がいく。長袖を着たミルクティー髪の自分にも、髪色の違う懐かしくなるくらいに冷たい態度の大我にも。

「…大我ごめん、今日は帰ってくれない？」

「いや、いいけどさ」

「…」

「倒れてるし変なこと言い出すし、大丈夫なの？」

「うん、平気。」

私の返事に、「そ。」とだけ返してすぐに家を出ていった。

…少し、整理したい。何もわからない、この状況が。

紙に書き出すでもしないと頭がパンクしそうで、机のある寝室に入る。そして、あることに気づいた。

「あ、れ、トートバッグ…」

その部屋には、私が今持っているものとまったく同じトートバッグがあったのだ。

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