一瞬を辿る (ページ36)

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「…ふふ、今日もはやい」

ロングコート姿の大我は今日も、10分前に到着した私より早く集合場所にいた。

一体いつも何分前に来ているの彼は。なんか、ちょっと気になってくるし。

「お待たせ」

「ん、全然」

「いつも早いね」

「俺、待ち合わせは相手のこと待たせない主義。」

「めっちゃ素敵な人じゃん笑」

私の言葉に大我はおかしそうに笑う。そしてそれにつられて私も笑顔になって、…なんか夢みたい、こういうの。

一周目ではありえなかった光景。

少しは進展したって思ってもいいかな？いいよね、それくらい。

「マフラーつけてるじゃん」

「うん、大我からもらったのだよ」

「あったかい？」

「あったかいよ」

そう言う大我も私があげたマフラーをしっかりつけてくれている。

嬉しい、もうにやけるくらい。

「俺もAがくれたのよく使ってる」

「うん。大学で見かけるけど、いつもつけてるよね」

「大事だからね、使わないともったいない」

Aがくれるものってぜんぶおしゃれ。

そう言って照れたようにマフラーに触れる大我。その表情、もはや別人。

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