一瞬を辿る (ページ31)

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#31 - 2022.12.05 - ページ31

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少し距離が縮まった気がした大我の誕生日。土曜日だったあの日から休日が明けて、いつも通り大学へ。

そして和奈に会う。これもいつもどおり。

「金曜ぶり〜」

「おはよ」

「なにー？なんか嬉しそう」

「そう？」

「うん。あ！そいえば彼氏誕生日だったのか。」

…なんか、和奈には隠し事できないなと常々思う。

「なになに何があったの！」と嬉しそうに問い詰めてくる彼女に思わず笑ってしまう。どんだけ気になんのよ、人の恋愛事情。

「ただ大我のバイト先まで行って、おめでとうって言ってプレゼント渡しただけ。」

「え！バイト先まで行ったの！？」

「…え、そうだけど」

「めずらし！なに、氷カップルが成長してんじゃーん」

「そりゃ誕生日だったから」

「でも珍しいよ、いつも見てる私からしたらさ」

一体どんだけ私たちはお互いに執着してなかったんだ。周りから見てそれが分かるくらいなら、もうとんでもなくドライだったんだろうけど。…氷カップルって言われるくらいだもんね。

今まではこの冷めきった関係を、冷たい態度の大我のせいにばかりしていたけど。でも私も何もしてなかったなって気づけたことは、私にとって大きかったんだと思う。

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