一瞬を辿る (ページ26)

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大我の命を救うために何をしたらいいのか、誰にも聞くことができない。

だから私にできることといえば、拒んでもいつかは来てしまう事故の当日に「お願いだから安全な私の家にいて」と言えて、それを大我が素直に聞いてくれるくらいの関係値になること。

そしてそれは、私自身が願っていることでもあるから。

「…は、A？」

「あ、やっときた…！」

大我が店から出てきた。とても焦った顔をして。

でもそんなの気にならないくらい、やっと私と目を合わせてくれたってそれだけが嬉しくて、自分でも頬が緩んでいくのがわかる。

「何してんの」って慌てて私に駆け寄ってくる大我。

「待ってたの、大我のこと」

「それは分かってるけど、いつから？こんな寒いのに」

顔は怒ってるけど、私にはわかる。この声は心配してくれている声だってこと。

「話したいことがあったの」と言えば、「連絡してよ」と言われる。だって、避けられてるし、断られたし。

「中入ってればよかったじゃん。」

「あ、……うん、でも会えたからもういいや」

「鼻真っ赤、手も真っ赤。ほんと何してんの」

大我は自分がつけていたマフラーを私につけてくれた。「馬鹿じゃないの」って何回も言われる。

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