一瞬を辿る (ページ23)

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放心状態のまま家に帰って、靴だけ脱いでソファに倒れ込んだ。

大我は私のことを拒まないって確信していたからこそ、すごく恥ずかしい。

「無理すんなよ」ってどういう意味。私無理してない、だって大我のことこんなに好きなのに。大我だってそうなんじゃないの？そんなに簡単な話じゃなかった？

一周目、彼からキスをされたことはなかった。付き合ってから事故の日まで、1年以上あったのに。

大学生だしそういうことがあるかもしれないっていつもどきどきしながら構えていたけど、それすら恥ずかしくなるくらい、なにもなかった。…それにも理由があるってことなの？

「ああ、もうわかんない…」

とりあえずどんな顔して会えばいいかわかんない、これから。

恥ずかしいよりも、悲しくてこわくてそれが自分の中で強い。

和奈今日デートだったんでしょ?

あんたらちゃんとデートらしいことしたわけー?

和奈は私たちの傍から見たらドライに見える関係を"氷カップル"と言って散々からかっている。

…ほんと、笑い事じゃないんだけどね。

『やらかした』とだけ送って、そのまま疲れて眠りについた。

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