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それからは解散の流れで、駅まで街を歩く。ハロウィン目前だからか、街はオレンジと紫と、なんかそれらしい色でいっぱいで気分が上がる。
…いや、気分が上がっているのはきっとイブの予定が決まったから。
大丈夫。過去と同じやり方ではないけど、ちゃんと日記通りに進んでいる。それに前よりも気分がいい、というか。
「…ハロウィンだね」
「はやいな、もうそんな時期か」
「うん、はやいね」
なんか、頭の中がふわふわしてる。覚束ない言葉ばかり口からでるのに、取り留めのない話題なのに、何故か嬉しくて。だから、間違えた。
キスしてみる？なんてそんなことを思って、彼の横顔を見る。
正直一回目のこの日よりは大我を恐れている気持ちはない。だってあのとき、たしかに大我は私のことが好きだと言ったから。
そして、どこかで進展できない現状に焦っている自分もいて。だから大きな変化をつけたくて。
これで、なにか変わるなら…ってそれだけしか頭になかった。
「大我、」
「ん？」
こっちを向いた実は背の高い大我の肩を掴んで、ぐっと背伸びをしたら、目が同じ高さであう。
それで、
「…え、」
「A」
私の口を、大我の手が覆った。
驚いて力が抜けて、かかとが地面につく。目線が私のほうが低くなって、身長差が元に戻った。
…拒まれ、た？
「……無理すんなよ」
「…」
「じゃあ」
そう言った大我は顔を背けていて、どんな表情をしているかわからなかった。
恥ずかしい、悲しい、どうして。
色んな感情が頭の中をぐるぐるしている間に、駅へ歩き出した大我の姿はもう見えなくなっていた。
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作者名：飴宮
| 作成日時：2024年2月21日 17時
