一瞬を辿る (ページ21)

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「お待たせ、もう出るでしょ？」

「うん、そうだね」

バクバクと鳴ってうるさい心臓。

なに、簡単なことなのに。一周目のときだって大我から誘ってくれたんだから断られることはないし、恋人がイブを一緒に過ごすことはなにもおかしいことじゃないのに。

大我に好きって伝えられても、今このときに戻ってきてしまうと状況は以前と全く同じで、どうしても過去と同じように緊張して怯えてしまう。

「あの、さ、大我」

「なに？」

感情が読めない顔、声。なんだか泣きそう。

どうして？早く聞きたい。どうしてそんなに冷たいの、何がそうさせているの。でも、どう聞けばいいかなんてわからない。

「…和奈と行く予定だったイルミ、なしになっちゃって。」

「そうなんだ」

「一緒に、その…行か、ない？」

「え？」

私の言葉に、感情のなかった目が大きく見開かれて。少し、驚いているのがわかる。

私は返事が怖くて、それしか頭になくて、だから気がつかなかった。彼の耳が赤くなっていたことに。

「……いいよ」

「え、ほんと？」

「うん」

大我のその声は、少し震えていた。

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