一瞬を辿る (ページ15)

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『この講義休むの珍しいなって思ったの。』

「…ごめん、寝過ごした。」

『体調悪くて休むなら連絡あるだろうし、どうしたんだろうなあって』

「ぜんぜん元気、大丈夫」

『ほんとかなー？私知ってるぞ、昨日倒れたらしいじゃん？』

和奈はきっとニヤニヤしてるんだろうなって声でそう言う。

…どういうこと？なんで知ってるの？

『京本くんがね、さっきこの教室きたの』

「…大我が？」

『そうそう。「Aきてる？」って。きてないよって言ったら能面ながらに心配した顔してたの伝わったよ。』

「そう、なんだ」

『うん、で昨日家で倒れてたの教えてもらったの。連絡してやってって言われて。』

自分が連絡しないのはなんというか、大我らしい。

…思い出した。一周目のとき、私が倒れた翌日にわざわざ私のいる講義室まできた大我は、体調は大丈夫なのかだけ確認して、表情を変えずに帰っていった。

…本当に、全く同じことが起こっている。なんか、本当に過去に戻ってきたんだって改めて実感した。

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