一瞬を辿る (ページ11)

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それは私が大学に通うときに使っているもので、比べると私が持っているもの方が少し色褪せていた。…まさか、

「たしか、この中には、」

……あった、日記帳。

私は高校生の頃から欠かさず毎日日記をつけていて、だからこの2つのトートバッグの中には日記がある。それぞれの最後の日付を見れば、

「…やっぱり」

部屋に元々あったトートバッグの日記の最後の日付は、当たり前だけど2022年10月2日。そして、私がいま手に持っている日記の最後の日付は、…2023年6月11日。

……私は、このバッグを未来からそのまま持ってきたようだった。

「…服は変わってるのに？」

この仕組みはよくわからないが、私はだんだん冷静になってきてこの現実を受け入れ始めている。我ながら物分りがいいと思う。

…少し整理しよう。

今私がいるのは、2022年10月3日。…未来から持ってきた日記には、この日は”部屋でひとり貧血で倒れていて、連絡がつかず心配になった大我が合鍵を使って様子を見に来てくれて、結局大事には至らなかった"と書いてある。

そんなこともあったような気がする。私はこの日に戻ってきたんだ。だから別に、私の部屋に大我が駆けつけていても不思議じゃない。

そして私がさっきまでいた2023年6月12日。大我は私を庇って事故死する。

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