桜が降る夜は３ (ページ22)

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「じゃあ、元気でね。」

呆然としている樹を置いて、その場を離れた。

卒業式が終わって、ざわざわ騒がしい校庭を通って校舎に入る。そして、夏未にすぐに連絡した。

言ってきた。

どこにいる?

すぐに既読がついて、即レス。

まだ学校にいるのかな。今は誰かに会いたい。慰めてもらいたい。

一人になりたくない。

夏未教室にいるよ

くる?

いく

スマホをポケットに入れて、教室まで歩き出した。

終わってしまった。辛うじて繋がっていたこの残酷な関係さえも、切れてなくなってしまった。

自分で、自分の言葉で終わらせた。

無意識に泣いていたことに気がついて、でもとめどなく溢れる涙を止めようとは思わなかった。

「我ながら、ほんと卑怯。」

樹だって混乱してるのに、”振られたくない”とか”綺麗な思い出のままで終わらせたい”とかいう私の身勝手な我儘で、全てを放り投げてきてしまった。

でもきっと大丈夫。

今日はたくさん泣いて、明日から春休みを楽しもう。

私だって樹だって、いつかお互いを忘れる日が来るんだから。

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