桜が降る夜は３ (ページ11)

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「もう一人暮らしを始めたら会わなくなるし。」

「…うん。」

「だから、卒業式の日にや会えるし言い逃げしようかなって。
それなら、もうこれからは会わないんだし、更に気まずくなることもないから。」

「ってことは、」

「…はい。覚悟してます。」

私が気持ちを伝えて、それで田舎の専門に進む樹とは全く違う環境での生活が始まる。

この告白がうまくいくことはないだろうけれど、だからこそ、もうこれから会わないとういうことは。

もう、幼馴染に戻れないし、それ以上を望むこともできないってこと。

どんなにこれから気持ちが消えなくても、どれだけまた会いたいと思っても、無理ってこと。

「…でも、そのくらいの覚悟はあるんでしょ。」

「勿論です。だって、何年も溜め込んできた初恋だから。」

「そっか。…応援してるよ。」

少し寂しそうな先輩の声。

私がずっと前に好きになって、それからなにか行動を起こしたことは今までなかった。

最初で最後の、樹へのアプローチ。これが、ほんとに最後。

「…大丈夫だよ、きっと。」

「え？」

「きっと、誤解が解けるから。」

先輩は、ちょっと笑って言った。

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