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無言のまま後ろに乗っていたら、気がつくとそこはあの河川敷。
「え、ここ、」
「しばらく来てなかったよね。｣
「そう、だったね…」
「やっぱり話すならここでしょ。」
二人で来たのだって、もう随分前のことだ。
もしかしたら、丁度一年前かもしれない。去年の春休み。樹に何故彼女を作らないのか聞いたけど教えてくれなかった、あの日以来。
「はい、降りて。」
私の手を取って、下ろしてくれる。
なんで、今日なんでそんなに優しいの。こんな樹知らないよ。
手を繋いだまま、いつも座っていた場所に腰を掛けて、暫く流れる水を眺めていた。
「…きょもたちになんか言われた？」
「まあ、言われたかな。」
「なんて？」
「ちゃんと話してきなって。」
「そっか。」
また沈黙が流れる。
でも居心地の悪い感じじゃなくて、とても落ち着く静かな空間。
「なんで逃げたの。」
「え？」
「なんで、言い逃げみたいなことするの。」
不貞腐れたような声を出したから、思わず樹の方を見る。
なんでそんな顔してるの。すると今度はネクタイを緩めだして。
「これ、あげる。」
「え、」
渡されたのは、樹のネクタイ。
私達の学校では、卒業式の日に好きな人へ第2ボタンを渡すのと同じ感覚でネクタイを渡す。それはきっと学ランじゃないから代わりに、っていう単純な理由。
それを渡されたってことは、樹はほんとに、
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作者名：飴宮
| 作成日時：2022年9月11日 17時
