#55 -juri side- ページ5
.
そんなどうしようもない毎日を送って、1年とちょっと経った頃のとある朝。
最近元気ないなとは思っていた。
けどその日は顔色も悪く、いつも丁寧に施されている化粧が崩れていた。朝なのに。榎本のそのときの顔を見たとき、俺は分かってしまった。
ああさっきまで泣いてたんだなって。
いつもどおり隣の席に座って、俺に「おはよう」と言う。そのいつもどおりのはずの声が、今日は涙声で。
俺は心配と疑問で胸がざわざわしていた。
「お前、なんかあった？」
聞かずにはいられなかった。
だって彼女は唯一同じ部署の同期で、そして俺が諦めきれない好きな人だから。
小さい声で、彼女がこの状況になるべく負担を感じないように。
結構気を遣って聞いたのに、返ってきたのは、
崩れた化粧のまま、苦しそうに無理やり作った笑顔と共に発せられた「なんもないよ。」という言葉だった。
俺はそれ以上、何も言えなかった。
でもあんなのが無理やり作った嘘なんてことは、誰にでも分かることで。
それでも、あれは彼女なりの"限界"の合図だったと思った俺は、一日中様子を窺いながらなるべくいつもどおり接した。
俺は死ぬほど気を遣っていたわけだが、当の本人はいつもどおりの仕事をテキパキと終わらせていく。なんなら、いつもよりペースより全然早いと思うほど。
意外と大丈夫だったのか…？
一日を過ごしてそんな風に思い、改めてよくわからない一日だったなあとそれだけ思った。
.
#56 -juri side-→←#54 -juri side-
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 673人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「SixTones」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
飴宮(プロフ) - 優希さん» コメント有難うございます🙇🏻♀️💞鍵垢であれば誰でも承認していますので、そこだけお気をつけください😌 (3月12日 8時) (
レス) id: fb7c0389bb (このIDを非表示/違反報告)
優希(プロフ) - 初めてコメントさせていただきます😌�眞呂�んの名前に惹かれてとっても素敵な作品に出会えました💛💛Twitterのフォロリクをさせていただきました👏これからもたくさん読ませていただきたいです😊😊 (3月11日 23時) (レス) id: 9e7ca0af4f (このIDを非表示/違反報告)
飴宮(プロフ) - 凛志さん» お久しぶりです！許可しておきますね！🙌🏻 (2022年8月23日 10時) (レス) id: 4bf5f0e073 (このIDを非表示/違反報告)
凛志(プロフ) - お久しぶりです！番外編物凄く嬉しいです🥺✨Twitterの方もフォロリク送らせて貰いました🙇もし宜しければ承認して頂けたら嬉しいです😢 (2022年8月23日 3時) (レス) @page44 id: ee9e64b526 (このIDを非表示/違反報告)
飴宮(プロフ) - 凛志さん» ありがとうございます🥹また�眞呂�んのお話書きますね、いつになるかわかりませんが楽しみにしていてください☺️ (2022年7月26日 21時) (レス) id: 4bf5f0e073 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：飴宮
| 作成日時：2022年7月1日 1時
