恋人以上、 (ページ8)

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想像していたとおり、いつものように北斗くんの作ってくれた朝食を食べて、外に出れるくらいには見た目を整えて、自分の家に帰ってきた。

ソファに着ていたトレンチコートと仕事用のカバンを投げ捨てて、一目散にシャワーを浴びに行った。

私は北斗くんが好きだ。

いつから、なんて覚えていない。

この気持ちに気づいてからは、一緒にいる時間が苦しくてたまらない。

なぜかって、向こうは同じ感情で私に接していないってことが分かりきってるから。

向こうがどう思っているのかなんて知らない。もしかしたら、そういうことをしなくても、都合のいい相手だと思われているのかもしれない。

私達は、この関係をはっきりさせようとはしない。

この関係に名前をつけようとしない。

この想いにこれから気づかないふりをしていれば、きっとこのままでいいと思っていられるのかも。

それでもいい、って思ってしまうくらいには、彼に酔っていた。

「はあ、」

ため息を一つ。シャワーの水が床を叩きつける音に、それはかき消された。

体を流れる生暖かい水が、この気持ちを流してくれればいいのに。なんて、バカみたいなことを思う。

乾いた笑いが、浴室に響いた。

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