恋人以上、 (ページ13)

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離れたい、なんて北斗くんに申し訳ないことを思ってから、時が経つのが早くて。

もう次の金曜日を迎えてしまった。

久しぶりに出会いを思い出したからか分からないけど、"もしいなくなっちゃったら" "見捨てられたら"なんて考えて勝手に色々考えちゃって。

その分仕事もうまく行かず、ますますネガティブになっていた。

こんな状態で会っても、正直嬉しくない。

いつもみたいに楽しみで、気づかないうちに口角が上がってるみたいな感覚がないと、寂しい。

せっかく頑張ったお化粧も、落ち込んでる顔のせいで全然可愛く見えない。

「いらっしゃい」

「…うん、お邪魔します。」

明らかにいつもよりテンションの低い私に、流石に北斗くんは気がついて。

不思議そうな顔をしたけど、すぐ笑顔になって、言った。

「今日はね、ケーキも買ってあるから。手、洗っておいで。」

とん、と背中を優しく押されて。

うん、って力なく返事した。

だめだ、元気ないのバレてるし、私…態度に出過ぎてる。

「はあ、」

パンッって頬を叩いて気合い入れるみたいにしてみたけど、口角は上がることなく、いかにも元気ありませんて顔の私。

これじゃ、完全に察してちゃんだな。

鏡の前で無理やり笑顔を作って、洗面所を出る。

リビングに入れば、笑顔の北斗くんがキッチンで手招きしていた。近づくと、お鍋の中を覗くように言われ、覗いたら、美味しそうなビーフシチュー。

「早く食べよ、盛り付け手伝って。」

「うん」

こうやって、頼りっぱなし。

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