赤が変えてくれた世界で#4 (ページ1)

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樹side

トイレに行くと言って、とりあえず教室を後にした。

べつにトイレに行きたいわけでもなかったけど、ずっと教室にいると、皆に気を使わせてしまうから。

気を紛らわせるために飲み物でも買おうかと、自販機前に行くと、先客で何人かの女子生徒がいた。

女子1「ねぇ昨日の歌番観た？」

女子2「観たに決まってんじゃん！きょもでしょ！もうやばかったよね！」

聞こうとしなくても、盛り上がってるその会話は俺の耳に入ってきた。

実は俺はきょもの家に行ったことがあって、連絡先も知ってるなんて、もちろん言わなかったけど。

俺はとんでもない人と友達になれてるんだとあらためて感じた。

…………まって、

きょもなら、きょもなら何か知ってるかもしれない。

あの日の夜、ジェシーはきょもの家に行ってた。

俺はいてもたってもいられず、盛り上がってる女子生徒達から急いで離れて、電話をかけた。

きょもが暇なわけないから、出ない確率の方が高いけど、今の俺にはそんなこと言ってる余裕なんてなかった。

けどやっぱり、忙しかったみたいで電話は繋がらなかった。

また後で、

かけなおしてみよう。

俺はスマホを握りしめて自販機に寄らずに教室に帰った。