痛みを求めて、#1 (ページ2)

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樹side

目が覚めると、白い空間だった。

鼻をツンとアルコールの匂いがつく。

すると、上から誰かの声が降ってきた。

こんな俺に、

話しかける人なんて、まだいるの？

ジ「起きた？」

その声は、不思議と心地よかった。

そして、白衣を着た人が、俺の横にしゃがんだ。

ジ「今は、どっか苦しかったり、痛かったりする？」

樹「…しま……せん」

ジ「そっか！俺はジェシー、今日から君の担当医になったから、よろしくね？」

赤い髪を持つ人は、ジェシーと名乗った。

ジェシーさんは、

今俺に話しかけてるの…？

それとも、他の誰か？

俺が黙り込んでしまっていたせいで、ジェシーさんは心配そうに顔を覗き込んできた。

ジ「やっぱり、きつい？痛みは？」

樹「俺…痛みがわからないんです……痛いって、なんですか…？」

痛み、

それは、俺が知りたくてたまらないもの。

それを知っていれば、

今頃は幸せになれてたはずなのに。

ジェシーさんは、一瞬悲しそうな顔をしたけど、すぐに俺の手を握ってくれた。

そう。俺の手を、握ってくれたんだ。

ジ「樹。ここは病院。樹はここに搬送されてきたんだよ。でも、樹はちっとも痛くなかったでしょ？気がついたら、ここにいたんだよね？」

なんで？

なんでわかるの？

それに、俺の事を樹と呼んでくれた。

手も、握ってくれた。

ジェシーさん、

あなたは、

不思議な人だ…