紫陽花の季節10 ページ25
そして、やってきて欲しくない6時限目はやってきた。憂鬱な気分を押して、次へ次へと前を向く。隣でフリを確認する大我先輩は綺麗で、少しだけ、優越感に浸った。
…あれ、どうだっけ？
ふと忘れるとついていけない。次をやりつつ思い出して手を伸ばす。頭がハチャメチャになって、混乱する。
「…ついてきて、」
「え、っあ、はい、」
フォークダンスだからか、ぎゅ、と距離が縮まり、気恥ずかしくて違う向きを少し見る。そこには、先程まで目で追っていた樹先輩。相手は奈緒先輩、すっごく上手くて、2人して美しかった。
「…大丈夫？」
「はい、すみません、」
「…いや、」
こっち、と笑われて急いで向きを変える。少し、落ち着いたような大我先輩の声が落ち着いて、胸にストンと入ってくる。
ぽかぽかした瞬間ではあった。
だけど樹先輩が誰かに取られたと、元々自分のものでは無いくせに、生意気なことを考えてしまった。大我先輩は優しいけど、かっこいいけど、やっぱり好きなのは樹先輩、と胸を締め付けられたような気分だった。
「っあ、すみませ、」
休憩に事件は起こった。
クラスメイトに誘われ、トイレに行き、帰っている時、とん、と荷物を持っている人に当たってしまい、急いで拾うのを手伝った。
「っ、仁田せんぱ、ぃっ、」
「あぁ、久しぶり。」
「っ、失礼します、！」
「っあ、おい、待てよ」
強く腕をひかれ、再び仁田先輩の胸元へ入る。
覚えていないはずだったものが、場面としてフラッシュバックする。
たすけて、そう叫んでも誰も来ない恐怖
やめて、そう拒んでも続けられる地獄
ごめんなさい、そう泣いても慰めてくれない孤独
どうしても、拭えなかった。そう、記憶から消そうと脳が反応しただけで、ただ、薬のせいではなかったのだ。幼児退行と似ているのかもしれない。
「また、ヤラせろよ、」
「っひ、っや、」
「気持ちよかったんだぜ、」
ジャージの中に手が入ってくるのがわかる。そして、息の仕方が、息が難しくなった。
「おい、なにしてんの。」
「っ、は、ふっ、」
「そいつ離せよ。」
声が聞こえたかと思えば、密着させられた体が離れて、少しだけ怯む。
「っ、じゅ、り、せんぱい、」
「うん、待ってて、」
被せられたジャージは、やっぱり優しい匂いがして、つい、仁田先輩に向かおうとする樹先輩の腕を引っ張った。
「っ、い、かな、いで、」
「A、」
「っ、すみません、」
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遊惑(プロフ) - 神山芽衣さん» キュンキュンして頂けて光栄です！そう言ってくださると更新も楽しいです！ (2019年5月19日 21時) (
レス) id: c7d2e895bd (このIDを非表示/違反報告)
神山芽衣 - コメント失礼します。とても楽しく、キュンキュンしながら読んでます。更新大変だと思いますが、頑張って下さいp(^^)q (2019年5月6日 23時) (レス) id: 5d0933fc27 (このIDを非表示/違反報告)
遊惑(プロフ) - ペペロンチーノさん» ありがとうございます！そう言ってくださると頑張れます！ (2019年5月5日 12時) (レス) id: c7d2e895bd (このIDを非表示/違反報告)
ペペロンチーノ(プロフ) - コメント失礼します。とても楽しく読ませてもらってます。大変だと思いますが頑張って下さい！ (2019年5月4日 23時) (レス) id: 117d6a24e5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：遊惑 | 作成日時：2019年3月15日 23時
