紫陽花の季節2 ページ17
なにかに、ゆれている。
それがわかったのは起きて、まだ目を閉じているときだった。
目を開けるのもだるくて、嫌気がさして、正直なところ、終わったらでいいかなと他人事のように決めた。
雨音が、近すぎる。
そう思うのは遅すぎて、つい目を開けると樹先輩の腕の中、
「っ、じゅり"せんぱ、ぃ"」
「っ起きた？すぐ、待ってて。」
言葉足らずで何を待てばいいのか分からないまま、土砂降りの中、暗い、夜道の中駆け抜けた。
✼••┈┈••✼••┈┈••✼
着けばそこは田中、と書かれていて、つい顔を上げると俺の家でごめん、と優しく謝られた。
こんな夜なのに、まだ誰も帰ってきてなくて不思議に思いながら、下ろしてもらいつつ、樹先輩に深く頭を下げる。
「め、っ、迷惑かけて、すみません、！」
「っいや！Aのせいじゃ、！」
「…え？っ…樹先輩めっちゃ濡れてる、！」
「あ、いや、」
「すみません、ほんとにすみません！」
鞄の中にあったタオルで軽く叩くようにして拭いていくと冷たい、雨に濡れた手が私の頬にあたり、反射的に樹先輩を向く。
「…覚えてないの。」
「…っへ？」
「その枯れた声とはだけた制服に、覚えはないんですか？」
「…え、っ、まさか、」
「まさかじゃなくて…冗談は抜きで」
「っいや、ちが、くて、本当に、おぼえ、て、なくて、」
「…は、？え、それ、」
「っあ、…」
きっと、あのハンカチに睡眠薬となんか入っていたのだろう。それか、睡眠薬の副作用か。
どちらにしても、薬の影響というのは間違いない。
「…今日は泊まってって。いろいろ聞かせて。こんな夜だし親御さんも心配してるよ。」
「そう、ですね、」
時刻はいうて19時をさしていて、男兄弟と言っていたから女子の帰る時間は予想できないのだろう。
そう思いつつもLINEを開き、母というところにメッセージを送る。
A今日友人の家へ泊まります。
母了解です。楽しんでね。
すぐに返信が来てほっとすると肩を押され、リビングに移動する。そう言えばまだあそこ玄関だった。
入れば大きいソファがあり、結構色鮮やかでお花も綺麗に咲いている。
「アガパンサス、ですね。」
「そうそう。……ぁ、先風呂入ってきちゃうわ。A。」
「あ、はい！」
「…夕飯作ってくれてもいいんだよ？」
「…了解致しました！！」
「やったー」
音符がつきそうなほどルンルンで行った樹先輩は何か、いつもと雰囲気が違った。
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遊惑(プロフ) - 神山芽衣さん» キュンキュンして頂けて光栄です！そう言ってくださると更新も楽しいです！ (2019年5月19日 21時) (
レス) id: c7d2e895bd (このIDを非表示/違反報告)
神山芽衣 - コメント失礼します。とても楽しく、キュンキュンしながら読んでます。更新大変だと思いますが、頑張って下さいp(^^)q (2019年5月6日 23時) (レス) id: 5d0933fc27 (このIDを非表示/違反報告)
遊惑(プロフ) - ペペロンチーノさん» ありがとうございます！そう言ってくださると頑張れます！ (2019年5月5日 12時) (レス) id: c7d2e895bd (このIDを非表示/違反報告)
ペペロンチーノ(プロフ) - コメント失礼します。とても楽しく読ませてもらってます。大変だと思いますが頑張って下さい！ (2019年5月4日 23時) (レス) id: 117d6a24e5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：遊惑 | 作成日時：2019年3月15日 23時
