紫陽花の季節1 ページ16
それから数週間たち、高校総体も終わり、仁田先輩率いる3年生の先輩が引退していく。高校総体では記憶にも記録にも爪痕を残し、あとは任せたぞ、というように体育館から遠のいていったのだった。
それからというもの、2年部長である樹先輩が筆頭とするように、2年生が引っ張り始め、入学当初程の慌ただしさが戻ってきたのだった。
「っ、おっととととと…ここで大丈夫、ですかね。」
「悪いな、A。引退したのにまた手伝わせて。」
「…その言い方だと私が引退してしまいますね？」
「あ、そうか…」
旧校舎まで来て、荷物を運び痺れる手を振って仁田先輩と話し込む。今日は寧々は用事、そして部活もないからこんな日があってもいいだろう。
化学室だったであろう部屋はカーテンが締め切り、骸骨が変に頭を傾げ、少し不気味だ。
早く、引きあげたい。
「っわ、っ、」
するりと腰に手が回され、流されて座っていたのも立ってしまうとそれをやった仁田先輩と目が合う。
嫌な予感がするも、未だにがっちりとした体は微動打にしない。
「っ、に、たせん、ぱ、」
「誰も見てない。」
「っそういう問題じゃ、！」
「強がるなって、」
パシン、
その乾いた音が響き、仁田先輩の左頬が赤く染まる。
勢いに任せて手を出すと見事にビンタでクリーンヒットしてしまったのだ。
それに腹を立てた先輩はハンカチをおもむろに出して私の口元に当てようとちかづけた。
「っ、んぐ、っ、！」
「素直になっておけばな。」
「っぅ、ぁ？」
ぐらりと視界が歪み、仁田先輩のホールドがなくなった今、つい倒れてしまう。
かち、かちと視界がブラックアウトされるのを待ち、遠のいた意識の先に、左の太ももに体温を感じた。
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遊惑(プロフ) - 神山芽衣さん» キュンキュンして頂けて光栄です！そう言ってくださると更新も楽しいです！ (2019年5月19日 21時) (
レス) id: c7d2e895bd (このIDを非表示/違反報告)
神山芽衣 - コメント失礼します。とても楽しく、キュンキュンしながら読んでます。更新大変だと思いますが、頑張って下さいp(^^)q (2019年5月6日 23時) (レス) id: 5d0933fc27 (このIDを非表示/違反報告)
遊惑(プロフ) - ペペロンチーノさん» ありがとうございます！そう言ってくださると頑張れます！ (2019年5月5日 12時) (レス) id: c7d2e895bd (このIDを非表示/違反報告)
ペペロンチーノ(プロフ) - コメント失礼します。とても楽しく読ませてもらってます。大変だと思いますが頑張って下さい！ (2019年5月4日 23時) (レス) id: 117d6a24e5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：遊惑 | 作成日時：2019年3月15日 23時
