参ノ頁 最悪な出会い 1 ページ6
視点 新人司書
もう少し仲間を増やしましょう､と言う武者君の提案により､もう一度潜ってもらう事に｡
先程は吉川先生こと､英治さんが来てくれた｡
仲間が増えると､何だか心がふわふわする｡
そんな風に考えを巡らせていると､潜書していた武者君が戻って来た｡
心無しか､隣のしげじの顔色が悪い様にも見える｡
『 おかえり､武者君｡ … しげじ､どうしたの ? 』
「 え ? あ … ううん､何でもないよ 」
そう言って誤魔化すしげじの顔色は相変わらず悪そうだ｡
しげじの様子について問おうとした時､フードを被った長身の男の人が口を開いた｡
「 …アンタが俺を必要としているなら､手を貸すよ 」
… しげじと､関係がある人なのかな｡
しげじの顔色が悪いのは嫌だし､文豪同士の仲が悪くなるのも嫌だ｡
兎に角､聞いてみようと思い､長身の人に近寄った｡
『 僕は此処の司書｡ 君の名前は ? 』
「 …別に､名乗る必要は無いだろ ? … 部屋に戻りたいから､何処に俺の部屋があるのかだけ､教えてくれない ? 」
「 ちょっと､多喜二 … 」
しげじの声は確かに彼には聞こえてた筈なのに､彼はしけじの方を見ない振り｡
しげじの表情は見る見る青くなっていく｡
「 … で ? 案内してくれるの ? してくれないの ? 」
しげじの制止の声を無視して､長身の人の前に歩いて行き､勢いでその人の頬を平手で叩く｡
少し身長差があって叩き難かったのを今でも覚えてるし､目から暖かい水が流れて止められなかったのも覚えている｡
『 君が誰かは知らないけど､失礼じゃないか ? … 君に案内する部屋は無い｡ しげじに何かしたなら今直ぐ謝って｡ それまで､君を仲間とは認めない ! 』
今思うと､何て馬鹿な事を言ったんだろうと思う｡
でも､当時の僕は言わずにはいられなかった｡
… ただ､僕はこの時初めて大声を出して､目から流れる水をそのままにしていたから､しげじや武者君､英治さんの目を丸くした表情は今でも忘れられない｡
『 あ … う … 』
初めて出した大きな声に､自分の頭がクラクラする｡
視界が歪む､人の声が遠くて聞こえ難い｡
しげじの声が微かに聞こえたけど､僕の足は自室に向けて走り出していた｡
足が鉛の様に動かなくて､途中何度も躓きそうになったけど､構うもんか｡
最後にちょっとだけ見えた長身の人の表情､お師さんと別れた時のお師さんの表情に似てたから､つい逃げてしまった｡
誰かの声を最後に､僕の意識は途切れてしまった｡
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新美悠華＠文アル大好き💛 - おもしろいですこれからの投稿楽しみの極みですこれからも頑張って欲しいです (2023年3月17日 15時) (
レス) @page33 id: 5309fc8273 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：星 廉 , | 作成日時：2017年12月18日 23時
