壱ノ頁 先生と初対面 ページ4
視点 新人司書
お師さんと別れて数分が経った｡
館長の少し後ろを､僕は歩いている｡
建物の奥に行けば行く程､懐かしい匂いは強くなる｡
一体､此処は何処なんだろう｡
「よし､着いたぞ｡長い間､歩かせて悪かったな 」
館長が目の前の大きな扉の前で立ち止まり､僕の方を見て謝罪の言葉を告げる｡
別に気を遣わなくても､僕は平気なんだけどな｡
気にしてない､とばかりに首を左右に振ると､館長は小さく笑ってから大きな扉を開けた｡
其処は､とても懐かしい匂いが一際強い場所だった｡
扉を潜れば､其処は別世界と言える程､現実離れした世界が広がって居た｡
見渡す限りの本､本､本｡
凄い … ､お師さんの部屋以上に本がある … ｡
「 驚いたか ? まあ､此処は図書館だからな 」
『 図書館 … ｡ あ､お師さんが通ってた場所 … 』
「 今日から此処が､君の家だと思ってくれ 」
自分に課せられた仕事内容を館長から聞く｡
少し僕には難しい仕事かもしれないけど､頑張るしか無い｡
お師さんが､態々僕を指名してくれたんだから｡
僕がそう意気込んでいると､フワフワの髪を揺らした眼鏡の青年が僕と館長の元に近寄って来た｡
「 あ､館長さん｡もしかして､この子が例の新人司書さんですか ? 」
「 嗚呼､先程到着したんだ 」
「 そうだったんですね｡ … 初めまして､中野重治と言います｡ これから宜しく 」
僕の目線にしっかり合わせてくれる中野重治と名乗る､眼鏡の青年｡
文豪ならやっぱり先生付けなきゃ､失礼だよね｡
『 初めまして､中野先生｡ えと … 宜しく ? 』
「 うん､宜しく｡ 実は､僕の他にもう一人居るんだ｡ 今､紹介するよ 」
中野先生は嬉しそうに笑った後､もう一人居るから と言って､部屋に戻って行ってしまった｡
ぼんやりしながら待ってると､今度は黒髪の短髪の青年が､中野先生と一緒に現れた｡
「 … 徳田秋声だ｡ どうせ君も､僕を地味だと言うんだろう ? 」
『 何で僕が初対面の徳田先生の事､地味って言わなきゃいけないの ? 』
あ､徳田先生が変な顔してる｡
僕､変な事言ったかな … ?
弁解しようと口を開くも､先に徳田先生が口を開いた｡
「 … 驚いた｡そんな事､言われるなんて思わなくて … 」
「 彼､言われ慣れて無いから照れているだけだよ 」
そうなんだ､徳田先生の意外な一面を見た気がする｡
中野先生と徳田先生にもう一度頭を下げて､挨拶をする｡
こうして､僕の司書生活が始まった｡
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新美悠華＠文アル大好き💛 - おもしろいですこれからの投稿楽しみの極みですこれからも頑張って欲しいです (2023年3月17日 15時) (
レス) @page33 id: 5309fc8273 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：星 廉 , | 作成日時：2017年12月18日 23時
