廿肆ノ頁 空っぽ 4 ページ27
視点 太宰治
憧れの芥川先生に抱えられている｡
その事実に絶叫し､気を失った所まで覚えている｡
でも､その後の事は覚えていない｡
だから､誰か教えて欲しい｡
どうしてお司書さんが俺の手を握りながらベッドに伏して寝てるの !?
俺は完全に覚醒してるけど､お司書さんは熟睡しているみたいだから､迂闊に動く事も出来ない｡
あああどうしよう､助けてオダサク … !
『 ん … ? 』
「 ひいぃっ … 」
お司書さんが起きたのか､身動ぎして身体を起こした｡
情けなくも､小さく悲鳴を上げてしまった｡
お司書さんは俺の方を見ると､寝惚けた様子で気の抜けた笑みを浮かべて首を傾げた｡
『 … 起きた､んだね｡ おはよ 』
「 お､おはよう … ございます … 」
引き攣った声が出そうになりながら､片言気味に返事を返す｡
さっき､俺はあんなに酷い事を言ったのに､この人は気にしていないんだろうか｡
気まずそうにお司書さんを見ていると､扉が慌ただしく開く音が聞こえ､複数の足音が聞こえた｡
「 おー､やっと起きたんか｡ 太宰クンが起きるまで､おっしょはん見とるって聞かんかってんで ? ちゃんとお礼言いやー 」
「 その前に､太宰君｡ 司書さんに言わなきゃいけない事あるよね ? 」
オダサクと芥川先生の声が聞こえ､お司書さん越しに二人の姿が見えた｡
二人の更に後ろ､何時からいたのか､部屋の隅で壁に凭れ掛かるフードの男の姿も見えた｡
「 あ､えーと … その … 」
俺が言葉に詰まって吃っていると､お司書さんは俺の頭にそっと手を伸ばして頭を撫でてくれた｡
『 ゆっくりで良いよ 』
その何気ない一言が嬉しくて､不覚にも泣きそうになった｡
このお司書さんは人形何かじゃ無い｡
ちゃんと､立派な人間だった｡
「 その､ずっと居てくれてありがとう｡ それから … 空っぽって言って､ごめんな ? 」
『 … うん､大丈夫｡ 僕が空っぽだったのは､事実だから｡ あ､そう言えば､君の名前聞いてなかった 』
「 … 俺の名前は太宰治､好きに呼んでよ｡ お司書さん 」
こうして､お司書さんと無事和解した｡
勿論､暫くは護衛隊的な人達に相当警戒されたけど､小林(恐らく護衛筆頭)の説得により､徐々に警戒が解かれていった｡
そんな警戒されてる中でもお司書さんは俺の事を『 だざさん 』って呼んで慕ってくれた｡
口には出せてないけど､いつか直接言いたい｡
俺の事を呼んでくれてありがとな､って｡
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新美悠華＠文アル大好き💛 - おもしろいですこれからの投稿楽しみの極みですこれからも頑張って欲しいです (2023年3月17日 15時) (
レス) @page33 id: 5309fc8273 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：星 廉 , | 作成日時：2017年12月18日 23時
