拾弍ノ頁 初めての驚き ページ15
視点 新人司書
感情講座が始まって早数日､僕は少しずつ感情を手に入れる事が出来た｡
直哉サンや､多喜二君､武者君を筆頭に､毎日日替わりで､少しずつ僕に感情とは何なのか､を教えてくれた｡
未だ笑ったり､泣いたり､表情に出すのは出来ないけど､僕なりに少しずつ理解して来たつもりだ｡
今日は誰が教えてくれるんだろう､食堂の椅子に腰掛けて紅茶を飲みながら､ぼんやり今日の先生を待っていた｡
「 … わっ ! 」
『 うわっ… !? 』
突然､背後から大きな声｡
いきなりの事に声を上げて席を立ち､後ろを振り返ると､楽しそうに笑う南吉君の姿が見えた｡
「 えへへ､大成功 ! ね､司書さん､驚いた ? 」
『 驚いた … のか､ 如何かは分からないけど … 心臓飛び出そうだった … 』
未だ心臓がバクバクしてる｡
本当に心臓が飛び出ちゃいそうだった｡
僕の言葉を聞くと､南吉君は笑顔でこう云った｡
「 それが驚いた､って事だよ｡ びっくりした､って意味と同じだね 」
『 これが … 驚き … ｡ うん､二度と忘れないと思う｡ 未だちょっとびっくり､してるみたい 』
「 司書さんはびっくり系に弱いんだね､これからは気を付けるよ 」
『 ううん､大丈夫｡ 覚える為には､何度も体験しないといけないから｡ だから､これからも僕をびっくりさせてね ? 』
南吉君が目を見開いた｡
今度は南吉君がびっくりしてるのかもしれない｡
でも､直ぐに無邪気な笑顔で大きく頷いてくれた｡
やっぱり､南吉君の笑顔は可愛いなぁ … ｡
「 流石南吉君です ! ワタクシの楽しみが増えて､ワタクシとても嬉しいです ! 」
『 いっ … きなり出て来ないでよ乱歩さん ! 』
突然僕の背後からまた人の声｡
しかも､若干紙吹雪が舞ってる､あの人怖い｡
びっくりし過ぎたのか､食堂の机に足をぶつけた｡
… もしかしたら､足をぶつけた事にびっくりしたのかもしれない｡
「 あはは ! 良い反応ですね ! 」
「 司書さん､前と比べて感情剥き出しにする事多くなったよね｡ 良い事だと思うよ 」
確かに､以前の僕なら､こんなに叫ぶ事は無かった｡
良い方向に､成長してるのかな｡
『 … 良い方向に､僕､成長してるかな 』
不意に声に出てしまった｡
二人は少しびっくりしてたけど､直ぐに笑顔になった｡
ちゃんと成長してますよ､って乱歩さん｡
これかも頑張ろうね､って南吉君｡
ちょっとびっくりしたけど､二人との時間はとても楽しかった｡
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 22人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
新美悠華＠文アル大好き💛 - おもしろいですこれからの投稿楽しみの極みですこれからも頑張って欲しいです (2023年3月17日 15時) (
レス) @page33 id: 5309fc8273 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：星 廉 , | 作成日時：2017年12月18日 23時
