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かぐやの望月 ページ1

ふと、空を見上げると、凛と輝く美しい月。
月は夜の雲に顔を隠しつつ現し世を覗いていた。
彼女は私の隣でうっとりと、その月を眺めている。

「綺麗。あ、でもお団子も食べないともったいないですよね。」
『ふふっ。Aさんは花より団子なんですね。』

からかうつもりの言葉だった。けれど彼女は微笑んで、

「いいえ。花よりも月よりもお菊さん。」

と、また1本取られてしまう。
いつもこう彼女といると調子が狂う。
愛おしくてたまらない大切な人。

「ねぇ、お菊さん。今年の月はいつもより立派だと思わない?次にこの月を拝めるのは7年後なんですって。」

そう呟く彼女の白い肌は月明かりに映えて美しかった。

『7年ですか……、』

人間にとって、7年という単位は大きいものなのだろうか。
自分のような存在にとっては7年などすぐに過ぎてしまうのに……。

自分と彼女との時の差を比べて嫌になる。

かぐや姫。
そう呼ばれる少女もこんな苦しみを抱えていたのだろうか。

『7年後も、また一緒にお月見しましょうね。もちろん来年も、再来年もずっと。』

美しい人はこちらを向いて告げる。

「お菊さん、月が綺麗ですね。」

粋な投げかけだった。

『ふふ、ずっと一緒に見ていてくれますか。』
「永遠に。」

月が綺麗ですね。
などと、意地悪な言葉は誰が考えたのだろう。
月の眩い空の下、悪戯な彼女に口付けを落とす。
時なんて進まなければいい。
月の満ち欠けから逃げられればいい。
そう願っても現し世は無慈悲なものでいつかは果てる。
だから、今ある一瞬を大切に愛す。永遠の魔法。
それが、私から贈る不死の薬 。

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作者名:姫草 白雪 | 作成日時:2023年9月30日 0時

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