DOCTORS.2 (ページ4)

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どうしても乗り気になれないみたいでだらだらと点滴を引き延ばしてるまーくん

まあ、もう病院は閉まってるからとことん付き合ってあげられるんだけど。

「ちょっと寝る？」

「寝てる間に点滴する？」

「かもね(笑)」

「やっぱり…」

寝てればチクっとするのも感じないんじゃない？って思うけどね

しゅんとした表情でベッドに丸まってるのを見るとなんだか切ない気持ちになる

小さい頃から体調が良くないとネガティブになりがちなんだよね

普段明るくて楽しいことが大好きなまーくんは
そこで無意識のうちにバランスをとっているのかもしれない。

「あ、そういや雅紀、お母さんお店に戻っちゃったけど平気だよな？」

「うん。店、いそがしいからさぁ」

まーくんちは中華料理屋さんでご夫婦で切り盛りしてて、おいら達もよく仕事終わりに立ち寄るお店。

そりゃ夕飯時じゃ忙しいよね

「部活から帰ってきてすぐ店手伝おうとしたんだって？
でもその分じゃ部活んときから具合悪かったんでしょ」

お母さん、心配してたぞ？って小さなため息と共に
少し呆れたような、優しい顔でベッドに腰掛ける翔くん

「部活休めないし、かーちゃん大変だもん」

「だけどその前に体調崩したら元も子もないだろ」

核心をつく翔くんの言葉にまーくんの目はウルウルしだす

「部活大変なの？野球部だよね。そろそろ引退の時期かな」

「引退試合、明後日…」

おっと、まじか。

ほんとは明日と明後日くらいはゆっくりしててねって言おうと思ってたんだけど。

青春の１ページを作る大事な日になるよね、きっと

「じゃあさ、なおさら今は点滴して元気にならなきゃいけないんじゃない？」

「……」

「ちょっと、智くん」

何か言いたげな翔くんを目で制する

わかってる。

医者である以上、体のことを思えばこの炎天下の中で運動するのは止めるべきなんだけど
まーくんの気持ちも大切にしてあげたい

だからこそ、ちゃんと手当てをしてあげなきゃ

「先生は頑張るまーくんを応援するよ？
最後の試合、全力でやりきってほしいからさ」

「…ん」

「その為に今、ちょっと頑張れない？」

「うん…頑張る…お願いします…」

ぐいっと目に溜まった涙を拭ってしっかり向きあってくれた

ほんとに、素直でいい子

「えらーい！さすがだね」

よっしゃ！

ドヤりながら翔くんを窺うと眉毛をハの字にして笑っていた