【進撃の巨人】 NTEOTW KYHU (ページ32)

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10 リヴァイ③ ページ32

幹部だけでなく、ウィルの班長就任をよく思わない者はいた。

それは、ウィルの若さとウィルの父親が前調査兵団団長だったということが原因だ。
その二つの要因が重なったことにより、不満を持つものが出たのであった。

今は人に会いたくない、誰かに会う前に自室へ戻りたい、そう思ったウィルは歩く速さを上げる。

「文句あるのか、ゴロツキが！！」

すぐ近くから声がして、ウィルはすぐに歩くのをやめる。

その場には確実にリヴァイがいる。

そう思ったら無意識に其方へ向かっていた。

案の定、その場には数人の兵士に囲まれたリヴァイの姿があった。なんの揉め事かは分からないが、その様子からリヴァイはまだ手を出していないことが分かった。

「ちょっと！あなた達何してるの？！」

問題が起きる前に止めようとウィルはリヴァイを庇うように間に入ると、リヴァイ目掛けて振り上げられていた拳をがウィルの頬に当たる。

「おいさすがにやべぇぞ…

年下だけど一応幹部だぜ」

「ひ、ひとまず逃げるぞ！」

上官であるウィルに暴力を振るったなんてことになったら調査兵団には居られなくなる。焦りを感じた兵士達は走って逃げ出した。

リヴァイは舌打ちをして追いかけようとするが、ウィルが絶対に行かせないように引き止める。

「揉め事だけは起こさないように言ったでしょ

……もう君を庇えなくなっちゃう」

懇願するように伝えるとリヴァイは怒りを鎮めて、ウィルの頬を見る。殴られたときに唇を噛んだため血が流れているうえに、頬は赤く腫れ始めていた。

「さすがに、殴られるのは痛いな…」

今にも泣きそうな声で頬を押さえるウィルを不思議そうにリヴァイは見る。

「なんだ、てめぇ頬を殴られたくらいで泣いちまうほど弱いやつだったのか」

「泣いてません。

それより、助けてあげたんだからお礼くらい言ってよ」

「あ？頼んでねぇよ」

言い合う二人の様子を傍から見ると心を許した友人同士に見える。