【進撃の巨人】 NTEOTW KYHU (ページ29)

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９花束の行方④ ページ29

リヴァイと買い物をしていた時＿＿＿
そう言っても何かを買っていたのはウィルだけだったが、花屋に寄っていた。
綺麗な扶郎花の花束を買ってきたのを見てリヴァイは一体何のために買ったのか疑問に思っていた。

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そこに着くと、空っぽの瓶に扶郎花を移す。
すぐそばにあるベッドには瞳は閉じているが、ウィルと似た顔立ちをした少女が眠っている。しかし、白いウィルの肌よりも更に白いその姿は病的だった。

「今回もちゃんと帰ってきたよ」

「地下街のゴロツキが調査兵団に入団したんだよ

三人のうち二人は今回死んじゃったけど…」

「新しい‘‘機動班’’という班の班長になったんだ

給料増えるかもしれないから、もっと良い環境で良い治療を受けられるかもしれないよ」

「……そろそろ起きてくれないかな」

静かなその部屋ではウィルの声だけが響く。
目の前で眠る少女には何本の管が繋げられていた。

「あらウィルさん、いらしてたんですね」

開いたドアの先に穏やかな表情をした女性が立っている。水の入った桶とタオルをお盆に乗せてやって来た女性はウィルの元へやって来る。

「いつもお世話になってます。」

ウィルは立ち上がって、その女性に頭を下げる。おそらく、その女性は看護師だ。慣れた手つきで眠る少女の身体を拭き始める。

「無事に帰還できて良かったです」

女性が優しく微笑むと、ウィルもつられて笑みが浮かぶ。

「やっぱり、転職する気はないんですか…？｣

「はい」

｢ウィルさんまで居なくなってしまったら可哀想です」

「父や兄が他界した時に、一度悩んだんですけどね…」

心配そうにする看護師に思いを伝えるウィルは眠る少女に目をむける。

次の日もその次の日も食事や入浴などの必要なこと以外はその少女から離れることは無かった。

傍で本を読んだり、話しかけてみたりその部屋では常にウィルの声が響いていた。